毎年この時期に記しているような気もする。
 大好きな小説、泉鏡花の「日本橋」。
 大好きな映画の「日本橋」。





 
雛の節句のあくる晩、春で、朧で、御縁日。
 同じ栄螺と蛤を放して、巡査の帳面に、名を並べて、女房と名告つて、一所に詣る西河岸の、お地蔵様が縁結び。
 これで出来なきや、日本は暗夜(やみ)だわ。


 
 この映画は、セリフが小説に忠実で嬉しい。
 淡島千景さん演じるところの稲葉屋のお孝が、可愛らしく、かつ婀娜な感じで言い放つのだ。



 どうにもこうにも、ロマンティック不足な日々だ。
 それがいけない。あらゆることが荒んできている。

 寒さがいくらか和らいだら、お着物でお出掛けしよう。
 黒地に木蓮の塩瀬の帯なんて、そろそろいいのではないかしら。
 臙脂の万筋に合わせよう。そうしよう。
 

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